方位神(ほういじん)とは

方位神とは、暦の上で特定の方角に位置し、その方角の吉凶を司る神々の総称です。年や日によって位置する方角が変わり、引越し・建築・旅行などで方角を選ぶ際の指標として古くから用いられてきました。

方位神の概要

方位神には大きく分けて、八将神(はっしょうじん)、金神(こんじん)、遊行神(ゆぎょうじん)、歳徳神(としとくじん)があります。

八将神は年の十二支によって方角が定まり、一年間同じ方角に留まります。金神は季節や日によって位置が変わり、遊行神は一定の周期で方角を巡ります。

方位神のいる方角に向かって引越し・建築・旅行などを行うと、吉神の場合は福を招き、凶神の場合は災いを受けるとされています。

八将神(はっしょうじん)

八将神は、年の十二支を基準に八方位に配置される8柱の方位神です。太歳神を筆頭に、年ごとに一斉に方角が移動します。

名称 読み方 吉凶 説明
太歳神 たいさいじん 八将神の筆頭。その年の十二支の方角に位置する最も尊い神。この方角に向かって事を行うと万事に吉とされる。ただし、太歳神の方角に向かって木を伐採したり、土を掘り起こすことは凶とされる。
大将軍 だいしょうぐん 大凶 最も恐れられる凶神。三年同じ方角に留まる「三年塞がり」が特徴。この方角に向かって建築・移転・旅行を行うと大凶とされる。金星の精とも、太白星の精ともいわれる。
太陰神 たいおんじん 太歳神の反対方向から数えて3番目の方角に位置する。この方角に向かうと縁談・商談に吉とされる。ただし修造・動土は凶。
歳刑神 さいぎょうじん 犯罪・訴訟に関して凶とされる方角に位置する神。この方角に向かって訴訟・交渉・談判を行うことは避けるべきとされる。
歳破神 さいはじん 大凶 年の十二支の正反対の方角に位置する。歳破の方角に向かって建築・移転・旅行を行うと万事に凶とされ、特に結婚は大凶。太歳神と正反対の方角にあるため「歳破」と呼ばれる。
歳殺神 さいさつじん 大凶 殺害・殺傷に関する凶事が起こるとされる方角に位置する神。この方角に向かって建築・移転を行うことは大凶とされ、特に人の生死に関わる事柄に注意が必要。
黄幡神 おうばんじん 建築・土木に関する凶神。この方角に向かって土木工事や建築を行うことは凶とされる。羅睺星(らごうせい)の精ともいわれる。
豹尾神 ひょうびじん 太歳神の正反対の方角に位置する。計都星(けいとせい)の精ともいわれる。この方角に向かっての旅行・移転は凶とされ、特に争い事や訴訟に注意が必要。

金神(こんじん)

金神とは

金神は、陰陽道において最も恐れられる凶神の一つです。金の気が強い方角に位置し、この方角に向かって引越し・建築・旅行などを行うと大凶とされます。

金神には「大金神(おおごんじん)」と「姫金神(ひめごんじん)」の2種類があります。大金神は特に強い凶の力を持つとされ、姫金神は大金神の反対方向に位置します。

金神の間日(まび)

金神がいる方角であっても、間日(まび)と呼ばれる特定の日であれば、凶の影響を受けないとされています。間日は金神が天に昇って地上にいないとされる日です。

間日の干支
寅・午・戌の月午・未の日
卯・未・亥の月辰・巳の日
辰・申・子の月寅・卯の日
巳・酉・丑の月子・丑の日

遊行神(ゆぎょうじん)

天一神(てんいちじん)

天一神(なかがみ、てんいちじん)は、方角の吉凶を司る遊行神です。癸巳の日から出発し、東・南東・南・南西・西・北西の6方位を各5日間ずつ巡り、北東(丑寅)の方角には行きません。

天一神がいる方角に向かっての旅行・移転・婚姻は凶とされます。ただし天一神が天に昇っている期間(天一天上)はどの方角も障りがありません。

天一天上(てんいちてんじょう)

天一神が天に昇っている期間を「天一天上」と呼びます。この期間は16日間続き、天一神の方角の障りがなくなるため、どの方角に出かけても良いとされています。

ただし、天一天上の期間中は日遊神(にちゆうじん)が地上に降りてくるとされ、家の中を清潔に保たないと災いが起こるといわれています。

巡金神(じゅんこんじん)

巡金神は、日によって方角を巡る金神です。金神と同様にこの神がいる方角は凶とされますが、金神の間日には影響を受けません。

歳徳神(としとくじん)と恵方

歳徳神と恵方

歳徳神はその年の福徳を司る吉神で、歳徳神がいる方角を「恵方(えほう)」と呼びます。恵方は万事に吉とされる方角で、特に正月の初詣や節分の恵方巻きで知られています。

恵方は年の十干によって4方向のいずれかに決まります。

十干 恵方
甲・己の年東北東(寅卯の間=甲の方角)
乙・庚の年西南西(申酉の間=庚の方角)
丙・辛・戊・癸の年南南東(巳午の間=丙の方角)
丁・壬の年北北西(亥子の間=壬の方角)